「……どうしたの?」







朝、教室に入ると妙にざわついた空間に違和感を覚えて近くにいた渚沙に聞く。








…みんな少し神妙な顔をして、小さく何かを囁いている。








こんなこと、今までなかったのに。








「なんか、みんな今日の新聞について話してるみたいなんだけど、ごめん私もあんまり詳しく知らないんだよね…、さっき来たらもう既にこんな感じだったの。」








「そっか、ありがとう。」









お礼を言うと、渚沙がはにかんだのを見て、とりあえず荷物を降ろそうと自分の机のところに行くと、私の前の席に彩と夏芽がいて声をかけられる。








「おはよ、夢空。」






「おはよん!」







「彩、夏芽、おはよう。」








ひらひらと手を振って挨拶し返すと同時に、彩がぐっと眉毛を下げて「今日の新聞みた?」って言う。








「…見てないんだけど、なんかあったの?」








渚沙もさっき言っていたよね…?









今日の新聞は見てないから、みんなが何について言っているのかはさっぱり分からなくて首を傾げた。








「みんな理緒の話題よ。槇原商社、経済危機なんだって。」







夏芽が小声ながらもハッキリと言ってくれた言葉に、ああ…、と零す。









お金持ちの理緒の家がそんな危機だったら確かにみんな心配するし、驚くかも。