鮮やかに塗るために、濁った色も重ねて。
でも、遠くから見たらきっとこの色も綺麗に見えるんだろう。
「…ねえ、夢空。今の自分は好き?」
まだ落ち込んでるのか腕に顔を埋めたまま、私に問いかけられた質問に塗っている手を止めて向き直る。
「うん、好きだよ。…心から、笑える今の自分が割と、ね。」
笑顔のまま答えると、そっと顔を上げた琉空が良かった、とでもいうように微笑む。
…前にも琉空にされたこの質問。
『夢空はもっと自分を大切にしな。もっと愛してあげな。』
…嫌いか好きか、しか選択肢がないのなら、自分をもっと好きでいよう。
もっともっと大切にしてあげよう。
そっちの方が絶対にいいに決まってる。
「…そう思えたのは、琉空のおかげ。」
首を傾げながらそう言うと、また、琉空はとびきりに輝いた笑顔を見せてくれた。