「まあ、そういうことだから。今日も二人で帰っといて」

「ハル、最近一緒に帰れない日多くない?」

「そ、そう? まあ精々健二と仲良くしてあげて」


放課後。
今日も健二と綾奈をくっつけよう作戦を実行中。

私は、ついでに歯医者に寄って帰るという言い訳で一人で下校。
途中で二人と出くわすとやばいから、駅前のパン屋さんにでも寄ろうかな。



なんて考えていたんだけど。



「アンタ、ほんとストーカー? 気持ち悪いんだけど」


野口 真生だった。
まさかのパン屋さんでバッタリ。
嫌な予感。


「は!!? 誰があんたなんか!! こっちは健二と綾奈を...っ」


また余計なことを言ってしまった。


「ホント、人のためとかかっこつけすぎでしょ。アンタいい人ぶりすぎじゃないの?」

「う、煩い...。こっちだってダメージくらってんだからね」

「...アンタが学ランーー」「ちょいちょいちょい!! その黒歴史はいいから!!」


こんな性格だけど、割と傷つきやすいんだからね。
なんて言わないけど。

今日だけで野口とのバッタリ率はかなり高い。
ほんと運が悪いというか...。


「あ、これ昼食べたやつ‼︎ もう一回食べよ」

「俺も」


何だかんだ気が合うのか合わないのか。
結局、二人で食べることにした。
店員さんに「カップルですか?」って聞かれて全力で否定したけど。


「野口、アンタ菓子パンばっかじゃん」

「お前もだろ」


なんて会話をしているとーー。


「ねぇ健二君、ここのパン屋さんすっごく美味しいんだって‼︎」


綾奈と健二だ。

衝撃で食べていたパンを落としそうになった。
やばいやばいやばい。

一方、野口は知らんぷりをしながら黙々と食べている。


「あれ? ハル!! ...と野口?」

「ハル、歯医者じゃなかったの⁉︎」

「あ、いや...その...」


「え、二人ってどういう仲?」


健二に見られた!!
違うってば‼︎ 勘違いすんなー!


「あ、えっと...」








「俺、コイツと付き合ってるから」







えっ。







...えええええ!!!?






野口は平然としている。
これは...従った方がいいのか。


「そ、そうなんだよねーあ、あはははは」

「ハル、お前まじかよ!!!」

「初耳...」


「あ、いや、あはははー」


野口ぃぃぃ!!!!!