「なあ、鈴木。この手紙、綾奈ちゃんに渡しといてくんね?」
「は? 男ならラブレターなんて女々しいもん書かずに堂々と告白しな」
「くっ...。お前こそ、綾奈ちゃんの友達なら友達らしく、もっと女磨けよな!」
女、ねぇ。
私、鈴木 春。
女子の中じゃ百六十五センチと高めの身長で、茶色がかったショートボブのせいもあって、よく男みたいと言われる。
最も性格は、言いたいことははっきり言うし、さばさばしててとにかく可愛げが無い。
「ハルーっ。いつもごめんねー」
一方、こちらのフワフワロングヘアでぱっちりお目目の人形のような小柄な彼女は私の友達、山本 綾奈。
愛想は良いし、少しドジなところが男の守ってあげたい感じをくすぐるような子。
自分でも何でこんな子と友達なのか分からないに色々と正反対だ。
「いいよ。それより綾奈も大変だね。毎日、男共のラブコールを受け取ってるなんて」
「ほんとだよ! 喋ったこともない子からいきなりメアド押し付けられることもあるんだよー」
「綾奈、男子苦手だもんね。でも、好きな人一人くらいいるんじゃないの?」
すると、彼女は少し顔を赤らめて「いないよー」と言う。
女の私が可愛いって思うんだから、世の男が惚れるのも無理は無いんだけどさ。
「お、お姫様と鬼ババさんじゃないすかー! おはよー」
「誰が鬼ババだ、馬鹿」
金髪のロングヘアが目立つコイツ、笹原 健二。
私の幼馴染であり、好きな人...でもある。
「ほんとハルは男みたいだよな。すぐに殴るし」
「煩い」
「ハルはかっこいいよ! 毎日、私を助けてくれるし、紳士だよ紳士!」
「それは女の私に対しての嫌味? フォロー?」
綾奈は何かあれば私に優しい言葉をかけてくれる。
だから嫌いになれない。
本当に素敵な女の子。
「俺だって、綾奈ちゃんを守る王子様だぜ!」
「そうやって好感度上げようとしてんでしょ」
「ゲッ。バレた?」
冗談まじりに言うのが可笑しくて、三人で笑う。
この空間が好き。
この空間が壊れること無く続けばーー。