なんて、わたしだけはそうじゃない。

言いたいのに言えない本当の気持ち。

こんなんじゃ、編集長に誤解されたままだと分かってるけど…。

「オレだって自覚してるよ。それより、何か食べたいもんある?」

「えっ?何でもいいですけど…」

「あっそ。じゃあ、適当に行くからな?」

「はい」

この素っ気なさに、とても告白する勇気は持てない。

『上司』としての気遣いは抜群だけど、『男』としては冷たいんだから。

だけど、だけど…。

エレベーターの開閉ボタンをさりげなく操作する編集長に、やっぱりときめかずにはいられなかったのだった。