「えっ!?新色?」

目を輝かせるわたしに、絵美さんは吹き出すように笑った。

「香乃子ちゃんて、なんか面白いね。さすが、亮介と渡り歩けるだけあるわ」

「そんな。渡り歩くってほどじゃないですよ…」

ついテンションが上がってしまった。

だって、ハーティーのコスメといえば、ラインストーンがついていたり、白やピンクの可愛い色で統一されていて、いかにも『女子向け』だから。

恋をする今のわたしには、より可愛く映るのだ。

「そんなことないよ。亮介って、ちょっと絡みにくいトコあるじゃない?その亮介が、香乃子ちゃんのこと褒めてたんだよー」

「えっ?編集長がですか?」

思わず耳を疑う。

知らないところで人を褒めるなんて、想像もつかないからだ。

すると、絵美さんは楽しそうに笑った。

「ホント、亮介って損をしてるよね。香乃子ちゃんも信じられないんでしょ?でも、ああ見えて中身は優しくて素敵な人なんだけどね」

知ってる。

編集長が、本当は優しいって。

だけど絵美さんは、きっともっと知ってるんだ…。