なんて、甘くていい匂いがするんだろう。

一歩先を歩く絵美さんからは、ふわりと香水の香りがする。

編集長って、こんな美人な人がタイプなんだ…。

背も高いな。

165センチ以上はありそう。

絵美さんと比べると、自分の色気の無さが悲しくなる。

告白しなくても、結果なんて見えてるわ。

こんな美人がタイプの編集長が、わたしを好きになるはずなんてない。

「どうぞ。いろいろ希望を教えてね」

絵美さんが案内してくれた部屋は、白が基調の清潔感たっぷりのメイクルームだった。

洗面台や着替えが出来るスペースがあり、大きな鏡の前にはたくさんのメイク道具が置かれていた。

「すごいメイクの数ですね」

これにはテンションも上がる。

なにせ、ハーティーのメイク道具が溢れてるのだから。

「でしょ?今回は、雑誌に載せるって聞いてるから、夏の新色を用意したのよ」