「信じられない…」

携帯をカバンにしまうと、とにかく急いでビルに入った。

ただでさえ一人で心細いのに、遅刻なんてなったら初対面から気まずすぎる。

案内板では、ハーティーは15階にあるらしい。

滑り込むようにエレベーターに乗り込もうとして…。

「イタッ!」

ドアに思い切り挟まれてしまった。

「あっ、ごめんね。大丈夫?」

「大丈夫です…」

どうやら、男の人が乗っていたらしい。

なんて恥ずかしい。

「オレがちゃんとボタンを押してなかったから。ごめんね、ケガはない?」

「いえ。急いで乗り込んだわたしがいけないので」

肩をさすりながら顔を上げると、そこには一瞬目を見張るほどのイケメンビジネスマンが立っていたのだった。