「百貨店のコーナーじゃ、それこそ邪魔だろ?ったく、平瀬は何考えてんだよ」

呆れたようにわたしを見る編集長に、そっくりそのまま言葉を返したいくらいだ。

自分なんて、本社にわたしを行かせようとしたくせに。

「分かりましたってば。じゃあ、明日は本社の前で待ち合わせでいいんですよね?」

いつか、言い返せる関係になりたい。

それまでは我慢だ。

「いや。用事がないなら、一緒に行こう。オレも、明日は外回りがないから」

「はい…」

一緒に行く?

「ちょっと距離があるから、車を出すか…。じゃあ、明日は時間になったら声をかけるよ」

しかも、車!?

編集長と一緒に仕事を始めて、約一年半。

二人きりの行動なんて初めてだ。

それも車だなんて、テンションが上がらずにはいられない。