そうだよ。

職場でも毎日会えるなんて贅沢過ぎる。

でも…。

「わたしたちの関係が知られちゃったら、離れ離れになるかもしれないんだよね?」

「香乃子…」

それは、やっぱり寂しい。

毎日会えていた人と離れるなんて、想像するだけで切なくなる。

そんな思いから出た言葉で、困らせるつもりはなかったのに、亮平のやりきれない表情に罪悪感を感じた。

「ごめんね亮平。困らせるつもりはなかったの。ただ、そうなったら寂しいなって思っただけ」

笑顔で誤魔化すわたしを、亮平も口角を小さく上げて微笑んだ。

「職場に話して欲しくないか?」

そう聞かれて、肯定も否定も出来ない。

堂々と付き合いたい気持ちと、離れたくない気持ち。

どっちも本当だから。

すると、言葉が出ないわたしの頭を、亮平が優しく撫でてくれた。

「それでもオレは、話したいよ。一緒にいても、今の状況の方が無防備すぎる。他の男を、香乃子に近付けさせたくないから」

「うん…。嬉しい…」

本当にごめんね、束縛してるなんて言って。

全然本心じゃないから。

「亮平、独り占めして?わたしのこと、どこまでも束縛してよ…」

亮平となら、何だっていい。

もう何もかも、どうでもいい…。