気持ちいい…。

キスを、こんなに気持ちのいいものと思ったことはない。

どうしてそう思えるんだろう。

テクが上手いから?

ううん。違う。

それは、相手が亮平だから。

こんなに好きになれる人には、もう出会えないって、心底思う。

だから、わたしは絶対に、この人を手放したりなんかしない。

そんな秘めた決意を抱え、舌を絡ませながらキスに浸っていると、空気を読めない着信音が鳴り響いた。

「誰だよ。ったく…」

それは亮平のスマホからで、ゆっくり唇を離した亮平は電話に出た。

だけど、片手はわたしの肩を抱いたまま。

それが嬉しくて、わたしは胸に顔を埋めた。

電話はまたもや仕事の電話で、休日出勤をしている社員からの様だった。

「そうそう、それでいいんだよ。ああ、そうだな。後は月曜日に。お疲れ」

いくらか会話を交わした亮平は、ため息をつくとわたしを抱きしめた。

「なかなかゆっくり出来ないな。プロジェクトも始まったから、ますますゆっくり出来そうにないし…」

「わたしは大丈夫だよ?だって、会社で毎日会えるし、何より同じ仕事が出来るのが嬉しいもん」