軽く唇に触れる程度のキスだけど、亮平は笑顔をくれた。

「香乃子からキスされるのもいいな。今度は、もっと濃厚なヤツをして?」

「えっ!?濃厚なヤツ?」

今さらだけど、改めて言われると恥ずかしい。

「何、恥ずかしがってるんだよ。キスなら散々してきたろ?ほら」

「う、うん…」

亮平ってば、絶対に楽しんでる。

ニヤリと笑った顔からは、わたしを試してる雰囲気が出ていた。

悔しいから、キスをしてやろう。

って思ったけど、唇を少し近付けたところで、最後の勇気が持てれない。

顔を離すと、亮平はケラケラと笑った。

「さっきは、普通にキスしてきたじゃないか」

「そんなに笑わなくてもいいじゃない。さっきは、勢い任せだったの!」

睨むわたしの頭を、亮平は優しく撫でる。

「悪い、悪い。本当は、そういう香乃子が好きだよ」

「もう、亮平ってば…」

そういう恥ずかしいことをサラリと言うんだから、やっぱり敵わない。

顔が熱くなるのを感じていると、亮平の顔が近付いてきた。

「香乃子が恥ずかしいなら、オレからするよ」

「ちょ、ちょっと待って…」

戸惑うわたしにお構いナシに、亮平は息が止まるほどのキスをしたのだった。