朝食を終えて部屋に戻る途中、早川さんは修司さんに会いに行くと言って、わたしたちと別れたのだった。
「早川は、お兄ちゃん大好きなんだな」
小さく笑った亮平は、わたしの手を取り、指を絡めてくる。
「亮平、マズイよ。ここじゃ、誰に見られるか分からないじゃない」
手をほどこうとして、それを止められた。
「それでもよくないか?香乃子はどう思う?」
「えっ?それって、みんなに知られてもいいってこと?」
「そうだよ。今回のことがあってさ、オレなりにいろいろ考えたんだ」
口角を上げて微笑む亮平は、当たり前の様にわたしを部屋に入れる。
そして、わたしを抱きしめたのだった。
「りょ、亮平…?」
ドキドキする。
なんだかんだ言っても、この温もりが最高だから。
「オレが、香乃子との仲を黙っておきたかったのは、ずっと一緒にいたかったからなんだ」
「それって、どういう意味?」
「もしかしたら、仕事で離れ離れになるかもしれない。そう思ったんだよ」