沙耶さんに、会いに行ったことは分かってた。
だけど、何でそんな急な展開に!?
「でも、ホテルのオーナーは?婚約者なんだよね?」
「そうですよ。でもそこは、お兄ちゃんが勝ったんじゃないですか?そもそも、沙耶さんをけしかけたのはオーナーの方ですから。まあ、流された沙耶さんにも責任はありますけどね」
早川さんて、こんなキャラだったっけ?
当たり前の様に言い捨てて、満足そうにパンを頬張っている。
すると、電話を終えた亮平が帰ってきたのだった。
「何の話してたんだ?平瀬の叫び声が聞こえてたけど」
「それがですねぇ…。編集長聞いてくださいよ!」
嬉しさを堪えきれない様子で、修司さんの過去を事細かに説明している。
話を聞き終えた亮平は、どこか明るい表情で驚きの反応をした。
「そうだったのか…。そんな事情があったんだな」
『それを早く言えよ』と言わんばかりに、亮平は嫌みたらしい目つきをわたしに向けた。
「そうなんですよ。でも、全ては平瀬さんのお陰です。お兄ちゃん、ゆうべ平瀬さんと話をして、決心がついたって言ってましたから」
「そんな…。ただ追い詰めただけかもよ」
結局、亮平の誤解を解いてくれたのは、早川さんと修司さんだったってわけか。