「編集長、朝からずっと機嫌が悪いんですよ?何かあったんですかね?」

「さあ?放っておけばいいよ。それより、早川さんはかなりご機嫌じゃない。何かあった?」

まさか、実はゆうべ亮平と何かあった訳じゃないよね?

関係を秘密にしてる手前、口では適当な感じで言ったけど、それだけは本当に勘弁だ。

「分かりました?もう笑いが止まらなくて。ニヤけそうになるのを、我慢してるんですよ」

「えっ!?そ、そんなに?何があったの?」

「実はゆうべ、甘くて熱い夜を…」

甘くて熱い夜!?

うっとりとする早川さんに、わたしは青ざめる。

本当にヤっちゃったわけ?

わたしとケンカになってから、亮平は早川さんを抱いたの?

持っていたパンがお皿の上に転がる。

口を開けて絶句するわたしに、早川さんは手を胸に当てて続けたのだった。

「お兄ちゃん、沙耶さんとやり直せたんですよ」

「え?」

修司さんが?沙耶さんとやり直した?

「ええー!?」