「そんな…。修司さんが幸せの邪魔になんて、なるはずがないです。本当にいいんですか?」
すると、修司さんは小さく頷いた。
「ああ、いいよ。だけど、そんな風に心配してくれるとは思わなかった。あの日、無理矢理キスをして、嫌われたと思ってたから」
「それは、もういいんです。沙耶さんを思い出したんですよね?だからなんでしょう?」
「ホント、香乃子ちゃんには負ける」
アハハと笑った修司さんは、次の瞬間には真顔になっていた。
「そうだよな。オレ、寂しさを香乃子ちゃんで紛らわそうとしてた。最低だな」
「修司さん?」
何だろう。
急に清々しい表情に変わった気がする。
「実はさ、オレが沙耶にフラれた原因は、仕事に没頭し過ぎたことなんだ。知らず知らずに、寂しい思いをさせてたんだろうな」
「そうなんですか?それ、ちょっとヒドイ」
みんな、何でそうなんだろ。
わたしなら、好きな人が一生懸命仕事をしてる姿は好きだけど。
亮平なんて、締め切り間近になると寝泊まりするくらいなのに。
「だけど、決心がついたよ。香乃子ちゃんのお陰で」