元カノって、編集長に彼女がいたってこと?

信じられない…。

ううん、いたって不思議じゃないことも分かってる。

だけど、普段の編集長からでは、全く想像出来なかったから驚きだ。

「編集長って、彼女さんいたんですか?」

「お前、またオレをバカにしてるだろ?」

「ち、違いますよ。何でですか?」

あの『お風呂入ってますか?』発言以来、どうも信用されてない気がする。

さっきまでの笑顔はすっかり消え、眉間にシワを寄せた編集長はわたしを睨んだ。

「彼女くらいいるよ。絵美は、時々連絡を取ってる今ではいい友達。今回の企画の話をしたら、力になってくれるって言うからさ」

「そうなんですか…」

時々でも、連絡を取る女の人がいたなんてショック。

一体、どんな話をするんだろう。

「編集長、今は彼女さんいないんですよね?」

それだけは、念押ししとかなきゃ。

すると、編集長はさらに不満げに答えてくれたのだった。

「ああ。いないよ。平瀬の予想通りの答えだろ?」