「え?入ってる?」

編集長の顔を見ると、少し赤い。

腕組みと足組みは、照れ隠しに見えた。

「ああ、入ってる。会社の近くにスーパー銭湯があるだろ?そこに行ってるんだよ。なんか、オレ汚いもの扱いか?」

「そんなことはないと思いますよ?」

と、フォローしてみても、笑いは止められなかった。

「おい、平瀬!何で笑うんだよ!」

「だって、編集長が本気で気にしてるから」

うっすら涙さえ浮かぶほど、笑いが止まらない。

そんなわたしに、編集長は子供みたいにムキになった。

「あのなぁ、オレはちゃんと着替えもしてるし、キレイにしてるんだ」

「はいはい、分かりましたって。みんなには、いつかフォローしときます」

「あのなぁ!」

まだブツクサ言う編集長に、席を立ちながらも頬が痛いくらいに笑えてしまう。

こんな時間が楽しくて、みんなが編集長の良さに気付いてくれなくて良かったって思う。

じゃなきゃ、誰だって恋に落ちると思うから。