大津 璃茶架

じゃあそこで一回ストップしてて!

「裕、止まって。もうすぐ大津が来るから。」

俺はメールを読みながら裕に指図した。

「…来るのかよ。」

裕は顔をしかめる。

「…きた。」

「ゆうー!有馬!おひさー!」

璃茶架が走ってきた。
細かいことだが、こいつはいつも俺より裕を先に呼ぶ。
裕は笑ってどうだっていいじゃないか、照れ隠しじゃないの?というが、納得がいかない。

「良かった、二人に会えて。もう有馬に会いたくて会いたくてはち切れそうだったんだよ。」

りさかが切なそうに笑って言う。

「俺もだよ。」

そういって、俺はわらった。
だけど、切ない顔をするりさかの頭を撫でたかったのに、見事に何事もなかった様にかわされた。
今まで俺は彼女に触った事がない。

「お前らラッブラブだな。見てると疲れる。」

裕が呆れた声をだす。

「うるさい。」

裕の背中がドーンと叩かれる。
腕を掴まれ、裕はりさかに近づく。そしてりさかは裕の耳に口を近づけて小声で話す。
「今幸せ絶頂期なの。邪魔しないでよ?」
「はいはい。」
微笑むと、裕に小さく体当たりをして、裕と笑いあった。
俺は少し唇を噛んだ。お前らの方がよっぽどラッブラブじゃねえか。
裕を睨む。俺がりさかの彼氏なのに、俺はあんな風に肌に触れることすら許されない。