ーー帰り道。



ついにこの日が来たんだ。
いつものこの道がもう二人で歩けないと思うと少し、いや結構寂しい。



さようならをいう日。



今までの思い出が次々と蘇る。


手を繋いだ。
空くんのあの笑顔。
"好きだよ"って言ってくれたら、
初めてのデート。
お祭り。



あなたが初めてだったの。
あなたの全てが好きでした。


「大好きだったよ。空くん。今までありがとう?」


「どうしたんだよ、いきなり。」


「空くんの好きな人は誰?」


「そ、それは、優菜だよ。」


すこし戸惑った瞳。
もうわかってるんだよ。
早く言わないとこのまま抱きしめてしまいそうで。


「いいよ。空くん。」

「どうゆうとこだよ!優菜!」


必死に聞く空くんの姿。
そんなこと言わないで。
そんな顔しないでよ。


泣いちゃだめだ。


決めたんでしょ。頑張るんだ、自分。



「空くん。素直になって。」


「……え?」

戸惑った空くんの顔。



「もう……別れよう。今までありがとう。本当に大好きだったよ。」


ぐっ、と下唇を噛み締める。
胸がキュッと音を立てて締め付けられる。


戸惑った目が決意のこもった目に変わった。

もう…終わりか。


「俺こそ。俺の方こそだ。
優菜、好きだった。
本当に大好きだった。俺の背中を押してくれてありがとう。」


最後の最後まで優しかったあなた。

ごめんね、じゃなくてありがとう、でよかった。

前に進めそうな予感。



そうして、私達は5ヶ月でピリオドをうった。


……これで良かったんだ。