春の日差しが暖かい入学式。




「えー。入学生のみなさんわー。えー。そうですね。……」



なげーよ。校長。



あーだりぃ。



長い校長の話を聞くのもめんどくて、
ふと、入学生の方を見る。





ん?誰だ、ありゃ。



後ろから見ると一人だけ頭がユラユラ揺れている。


「…大丈夫かよ。あいつ。」



それが俺の桜木美緒に対する第一印象だった。




……ガタンっ。




おいおい!!!

あいつイスから落ちたぞ。



慌ててイスを元の位置に直し座ろうとする彼女の顔が見えた。



鎖骨くらいまで伸びた色素の薄いフワフワの髪。

ぷるん、と潤うさくらんぼ色の唇。

くりんっとした目。


まるで犬みてぇだ。
愛嬌のある顔立ち。

綺麗というよりも可愛い。