「気になったことって何? 僕でよかったら話してもらえないかな?」



姫野さんが身を乗り出して興味津々。本当は彼に話そうと思っていたけど、もういいや。



「はい、霞駅を参考に茜口の南出口から開発地までを、上手く繋げられないかと思うんです」



姫野さんに仕事の話をするのは緊張するけど、私は気持ちを落ち着かせながら話した。



「自然な人の流れを作るということだよね、いい提案だと思う。実は商業施設を……というのが濃厚になっているんだ」



私の話を熱心に聞いていた姫野さんが、大きく頷く。きゅっと口を結んで、満足げな表情。
よかった……と安堵感がこみ上げる。



「よし、明日の会議で提案してみよう」



姫野さんの自信に満ちた声が、清々しい気分を呼び起こす。沈み込んでいた気分が、ほんの少しだけ浮上してきた気がする。



だけど、明日は月曜日。
明日の会議といえば、橘さんも一緒。



提案できたことは嬉しいけれど、橘さんと顔を合わせることに抵抗を感じてしまう。できるなら、顔を合わせずにいられないかな。