ゆったりとしたスピードで、自動ドアが開いた。
広々としたロビーの向こうには、庭を望むラウンジ。ちらほらとビジネスマンが談笑しているのが見える。意外と気づかれない雰囲気。
だけど、そこに阪井室長らの姿はない。
ぐるり見回すと、阪井室長の声が響いてきた。声のする方へと、急いで目を凝らす。
太く艶やかな柱の間を縫って、彼らの歩いていく先はエレベーターホール。上階のレストランに行くつもりだろうか。
相変わらず楽しげな声を響かせながら、阪井室長らはずんずん進んでいく。止まる気配など、まったくない。
こんなところで見失うものかと、急いで後を追う。
さて、任務の再開だ。
ロビーで寛ぐ人たちの合間を縫って、柱の影に身を潜めながら、少しずつ距離を縮めていく。
あくまでもさりげなく、決して怪しまれないように。エレベーターホールの入り口に飾られた大きな観葉植物の陰に滑り込む。
ようやく、エレベーターを待つ彼らをロックオン。