『紗江。紗江』

母の声で目が覚める。
眼鏡をかけながら起き上がる。

『どうしたの?』

母がアタフタしている。

『お客様なんだよ!お客様!』

『お母さんが出ればいいじゃないの』

『違うんだよ。いいからお前が来てくれよ』

母はとにかく早くおりて来いと言って、部屋を出てった。

『何なのよ。もう』

時計をみるとまだ九時。
こんな朝早くに誰なのだろう?