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「はぁ……っ、どうしたの?」

連れてきたのは階段の陰んとこ。
俺がいっつもサボってるとこだ。
安藤は息を整えた後、オロオロした様子で俺の顔を覗き込んだ。

「いや、別に……」

あいつらが安藤の話してた、なんて言えないし。つか言いたくねーし。

「別にじゃないじゃん、何かあったんじゃ__」

「キスさせて」

俺に伸ばしてきた安藤の手を摑んで、そう言った。
安藤は動揺を隠しきれないのか、じわじわと赤くなっていく頬。

……こんなの、みっともないって分かってる、けど。

「可愛いよなー」「超タイプだわー」
そんな言葉が脳裏に焼き付いて。

「え……?っあ、えと……」

摑んでいた安藤の手を離して、安藤を壁に追いやる。

「……だめ?」