「喋り方的に、中谷じゃないって思った。だから、ちずるかと思ったんだ。でも、顔を見たら中谷で、俺らもビックリだよ…」


学校での喋り方とさっきの喋り方とでは全くちがかった。


それに、声もちがくて。


なんで宏は、咲希じゃなくて中谷を選んだのか。


それを、俺は知りたい。



「…そ、か……そっか…っ




裏切られたんだ…っ」



ぎゅぅっと俺の制服を握り締めて、崩れ落ちていく咲希。


それを俺はただ、呆然と見ていることしか出来なかった。







――――――――――…
―――――…



「、咲希…」


「ん……?」



帰り道。


さっきまで泣いていた咲希と一緒に家へと帰る。


その咲希は、すっかり目をぱんぱんに腫らしてしまっている。



「はぁ…、ごめんね?俊」


「いや、俺は大丈夫だけど………、咲希が大丈夫じゃないだろ」



真っ暗になった道の途中、街灯の下で俺と咲希は立ち止まる。