「ねぇ、宏。この人と知り合いなの?」
「…あぁ。行くぞ」
そう言って宏は女の子と手を繋ぎ、ショッピングセンターに入っていった。
悔しい、なんであいつなんかに宏を取られなきゃ行けないんだ。
グッと歯を噛み締める。
「おい、俊。落ち着けって…」
「落ち着いてられるわけねぇだろ…、咲希を傷付けて泣かせやがって…
昔から咲希だけを見てきた俺にとってはすっげぇイラつくんだよ」
ふざけんじゃねぇ…。
これは、咲希に報告したほうがいいのだろうか。
「俊らしいな…。咲希ちゃん、もうすぐ来るよ」
冷静に一弥は俺に言う。
え…。
なんで咲希が。
「…っ、俊…?」
「!
咲希…」
はぁはぁと息が切れていて、ここまで走ってきてくれたのだろうか。
「黒髪の女の子が、誰なのか分かったって…本当?」