外に出ると少し肌寒かった。


「ふー。結構さむいな。しかも今日の授業難しくて疲れたし。」


先に沈黙を破ったのは燈貴くんだった。


「そうだねー。ちょっと寒いかも。」


「あのさ、牧谷って頭いいの?」

「うーん、まぁまぁかなっ(笑)」

「よしじゃあ次のテストの点数勝負な!」

こんな何の変哲もない会話だけなのに胸が高鳴ってしまう。

これからもっと仲良くなりたいな…。

今日帰ったらメールでもしてみよっかなー…

ん?まてよ?あたし燈貴くんのメアド持ってたっけ…?

…あっ持ってない!!早く聞かないと!

「ね、ねぇ燈貴くん。メアドもらってもいい?」

すると返ってきた返事は…

「やだー。」

え。う、うそ。完全拒否られたんだけど。


ショックで言葉が出なくてなんて言おうか迷っていると

「ぷっ。うーそ。いいに決まってんじゃん。ほら、携帯出して。」


…だ、騙された。


「もうっ。なんなのよっ。」

言葉ではそう言うけど恨みひとつ感じられなかった。

「はははっほんとアホだな。かわい。」


え…?最後なんて言ったか聞こえなかったけど。あたしの耳が正しければ今、かわいいって言ったよね…?


ああ。この人はどこまであたしを落とすつもりなのだろう。