「ふっ。そうなんだ、まぁ頑張ろうぜ。」

そう言って燈貴くんは前を向いてしまった。


あたしは、授業が始まってからもずっと燈貴くんの背中を見つめてボーッとしていた。


結果、授業内容はほとんど頭に入ってこないまま終わってしまった。


時計を見ると針は8時を回っている。
外は真っ暗…。


ぼんやりと窓の外を見つめていると


「あ、牧谷!もう暗いしこの辺夜は危ないから家まで送ってくわ」


燈貴くんが突然そう言い出した。


びっくりして顔がタコのように赤くなった。

「い、いやほらでも!自分の家遠回りになったりとか…しないの?」


「全然へいきへいき。」

そう答えると、有無を言わせず荷物を持って教室を出た。
あたしは大人しく彼の背中についていった。