そしてチャイムが鳴った。
帰りのHRが始まってからもあたしはずっとボーっとバレないように彼を見つめていた。
学校が終わり、あたしは2人に急いでるから、と真っ先に一人で家に帰った。
――
あたしは家に入ったと同時にお母さんに呼ばれた。
「希依、あんた成績思うように伸びてないようだから塾入れといたわ。今日の6時からやるらしいからそれに行ってみなさい。」
はぁ。意味わかんない。
なんでこんな時に塾なんか……。
「行きたく…ないよ。」
そう小さく漏らした声はお母さんの耳に届いていた。
「あんた、自分が受験生ってこと自覚してるの!?このままじゃ高校受験だって危ういのよ。行かないとだめよ。」
だめだ。今は何を言ってもお母さんわかってくれないよ…。
「…わかったよ。」
そう言い残して自分の部屋に戻った。