「ちさと~。機嫌なおせよ~。俺が悪かったから」
「もう、知らない!!」
後ろから、拓馬がついてきているみたいだけど、お構いなく森の中をズンズンと進む。
「ちさと~」
「……」
いつの間にか目の前の景色が変わっていた。
「あれ?」
黙々と進んでいたので、気づかなかったようだ。
青い空に、広い原っぱ。
ところどころに、小さな野花も咲いている。
「ねぇ、拓馬!」
振り返るも、シーンとしていて……
拓馬、私が置いてきたんだった……
まぁ、そのうち着くだろうなんてね。
とりあえず、森を抜けられたことはよかったのかもしれない。
「ちさと!」