「由那はさ、長いの?
ここの生活。」

広場から少し離れた
花壇がたくさん並んである通りに
入った時、そう聞かれた。

「っーー!」

いきなり振り向くから
ちょっと焦った。

「…何で?」

少し呼吸を整えて
聞き返す。

「いや。なんとなく?」



「この病院に来たのは最近。」

「へー。」

あたしが答えたのが意外だったのか
半分だけこっちに振り返る。

「ってことは、ここ以外の病院に
いたことあんだ?」

その聞き方に少し嫌悪感を覚える。

「…さあ?忘れた。」

「忘れた、って…」

苦笑いしながらあたしの顔色を
伺ってくる。

「あんたは」

「勇人。」

呼び方が気に入らなかったんだろう。

「…勇、人は、」

不自然な感じになってしまった。

「俺は単なる怪我。」

「…ださ。」

「っるせーよ!
これは俺じゃなくて相手が
悪かったんだよ!」

耳 赤い。

「大学のサークルでさ、
フットサルやってんだけど、
その試合で。」

大学。

サークル。

あたしとは無縁なそれが
新鮮だった。