横から言葉の割りには
人懐っこい声が聞こえてくる。

ふと横を見ると

「よっ!」

左足にギプスをして
車椅子に乗ったあたしと同じ年位の
男の子がいた。

「え、あ、はあ…」

いきなりだったから少し
どもってしまった。

「何してんのー?」

「え、別に。」

同じ年ぐらいの子と話すのは
すごく久しぶりで、
何て返して良いか分からなかった。

「風、気持ちーな!!」

あまりにも明るい声で言ってくるから
少し笑ってしまって

「そうだね。」

素直にそう答えた。

「俺、山口 勇人!19!」

同い年…

「おう、そっちは?」

「あたしは澤井由那、19。」



「お、じゃあタメか!」

だね。

自己解決してそれに関しては
何も答えずにまた子どもたちに
目を向けた。

あ、増えてる。

「なあ、ちょっと散歩しねえ?」

その言葉に
は?ともう一度 目を向ける。

「由那が押して!」

呼び捨て…

「はぁ…」

分かりやすくため息をつくけど
未だにこにこしてるこの男を
見ると、断れなくて

「…はいはい。」

そう言って立ち上がると
更に笑顔になった。

不思議なひと。