抜けるような青空。
シーツを広げてロープにかけていく。
風がその白を波のように煽り通りすぎていった。
「リク、アンタ本当に私のこと好きだねぇ」
「き、気色悪いこといってんじゃねーよ!」
波間から少年の真っ赤な顔が覗く。
「だっていっっつも私の回りをちょこまかと...」
「つ、次はどうやって泣かせてやろうか考えてただけだし!」
ニヤリと笑う。
リクの顔に別の少年が重なる。
いつも何か悪巧みをしているような、意地悪い笑み。
違うと言えば、セツは海のような青い眼をしていた。
「セツ....」
「!!
お、俺といるときに他のやつの話なんかすんな!!」
「....あ、ゴメンゴメン」
「頭撫でんじゃねーよ!バカにしてんのか!?」
「してないしてない。」
「大人が言葉繰り返してるときは、大方嘘ついてるって、メグが言ってたぞ。」
うっ....余計なことを。
「いいから、男がウダウダ言ってないで手伝いなさいよ!」
「イヤだね~そんな女の仕事。」
「んなこと言ってると好きな子に嫌われるぞ~」
「!!
う、うっせーババア!!」
「言ったな、くそガキ。」
白い波間でいつものように始まる追いかけっこ。
これを平和と言わずになんと言う?
幸せと言わずになんと言うのだろう。