潰れかけた小さな教会。
そこが私たちの家だ。
先の大きな戦争で一人になった者たちが集まって生活している。
孤児院なんてそんなたいした物じゃない。
ただの寄せ集まりが大人、子供合わせ十数人暮らしている、それだけ。
各々ここに来た理由は誰も知らないし、お互いに聞くこともしない。
楽しげな理由を持っている者は、きっと一人もいないから。
ゆえに来るもの拒まず、去るもの追わずの関係だ。
ただこの国の治安は悪いままなので、子供は増える一方である。
「また近々戦争が始まるらしいわよ...」
「いやね、また?」
こんな奥様方のやり取りも日常茶飯事。
心音一つ変わらない自分もどうかと思うけど。