「もー、セツはどうしてそう、夢がないのかなー」



ぷくっと膨れた頬に、もう一人が微笑む。



「アカリが夢見すぎてるんだろーが。10才にもなって恥ずかしい。」



「年下のアンタに言われたくない。」



「かんけーないね、いっつも俺の方が上にみられるし。ガキ。」



ゲシッ!!



鈍い音と共に、小さな影がベッドからぶっ飛んだ。



「アカリ、てめぇ...」



ベッドから落ちた小さな影は、負けじと再び潜り込り込む。



「きゃ、ちょ、冷た!!」



「凍りつけ」



「わ、わかった、ゴメ、セツ。降参!!手ぇ冷たいよー!」



悲鳴はいつしかどちらともなく笑い声に変わり、つかの間離れた二人の体温はやがて



また、ひとつに溶けた。