「あとー、じゃがいも20と、玉ねぎ10と...」
「おい、マジか?どんだけ買うんだよ!?」
「えーだって、せっかく荷物持ちがいてくれるし、あーリクのチェリーも買わなきゃね。」
大通りに面した様々な色のテント、木の箱に山積みの野菜、果物。
活気に溢れた街の市場には、店員やお客さんの声が飛び交う。
「あら、ボク偉いねー、お姉さんのお手伝い??」
「違うわ!!」
塞がった両手をプルプルさせながら、恰幅のよいおばちゃんに噛みつくリク。
「良かった~ママとお買い物?とか言われなくて。
ところでリク、そっちの袋持つよ。」
「いいよ、別にこれくらい重くねーし。」
明らかに手の色変わってるけど...
「私が虐待してるみたいじゃん。」
「余裕っつってんだろ!こういうのは男に任せときゃ良いんだよ!」
「へーい。」
こういうときのリクは絶対何をいっても譲らない。
まーいっか、ヘルプが出るまで任せとこ。
空いた両手を曇った空へ伸ばし、身体を伸ばす。
市場特有の空気を吸い込むと、
ポツリ....雫が一粒頬を打った。
「あーリク、とうとう降って....」
泣き出した空からリクを振り返った、
ガシャーーーン!!!!