妙に納得したからだった。




今まで、大地のことが好きで、だけど叶わなくて。
大地が上京すると共に、この想いを捨ててしまおう。


あたしのこの行動は、ずっと、自分の為だと思っていたけど。
自分を守る為だと思っていたけど。



...大地の今の言葉に納得したのは、大地の〝重荷”になりたくなかったから...?





そう考え出すと、止まらなくなった。


気持ちは、いつだって伝えることが出来たのかもしれない。

自分を守る為が、ほとんどかもしれないけど、...少しでもその気持ちがあったから、納得してしまったんだろう。




...それとも、ただ、自分を自分のことしか考えてない悪人から、少しでも遠ざける為の言い訳?




「......なんで理沙が泣いてるんだよ」


「...っ、ごめん、...酷い、こと言った」



両手で、いつの間にか零れ落ちていた滴をゴシゴシと拭う。






「...っ......」


「...あー......」


「......大地」


「...理沙が泣くから、もらい泣きしちゃったじゃん...」





大地は、そう言って顔を俯かせた。

テーブルにおでこを預け、地面を見つめながら、鼻をすする音が響き渡った。






「......っ...」





小さく震える大地の肩。


それを見て、ふいに昔を思い出した。