公園には春休みを存分に楽しむ子供たちが大きな笑い声をあげながら遊具で遊んでいた。
公園に周りにはたくさんの木が植えてあり、自然豊かだった。
「木がいっぱい。すごいね!!」
柊があたしを見下ろして静かに微笑む。
柊は公園の中に足を進めて行き、公園の奥の水道の横に立っている大きな木の前で足を止めた。
公園の周りに植えてある木より、また一段と大きな木。
「何の木がわかる?」
柊に聞かれて最初は首を傾けたけど、ずっとその木を見ていたら、あの、あたし達の住んでいた町にあった桜の木がふと頭に浮かんできた。
「……桜の、木」
呆然として小声で答えると、柊は驚いたように体を逸らし「正解!」と言った。
「よくわかったな」
「いや、なんとかく。今、頭にあのバス停の近くの桜の木が浮かんだの」
あたしが言うと、柊は細かく何度も頷いた。
「実は、俺もなんだ」
「…………」
「ここに引っ越してきて、この木を見つけたとき、一番に浮かんだのはあの桜の木だった」