繋ぎたくても、繋げなかった時期があった。
だから、自然と手を繋ぐことのできた今がとても幸せで、あたしは繋がれた手を微笑みながら見ていたんだ。
「そんなに嬉しい?」
あたしを見た柊が、苦笑する。
「嬉しいよ!! すごくすごく嬉しい!!」
あたしが小さな子供みたいに喜ぶと、柊は満足そうに口角を上げてあたしの手を更にギュッと強く握った。
「お腹は?」
歩きながら、柊が眉を上げて聞いてくる。
「う~ん。まだ空かない。柊は?」
「俺もまだ空かない」
「じゃご飯の前にどっかショッピングでも行く?」
あたしが聞くと、柊は少し考えてからあたしの手をクイクイっと引いた。
「実は、ちょっと連れて行きたいところがあるんだ」
あたしは頭にハテナマークを出して首を傾げる。
「どこ?」
「それは秘密」
柊が意味深に微笑み、鼻の頭に人差し指を当てる。
益々意味のわからないあたしは、グッと眉間のシワを深くした。
柊に手を引かれてやってきたのは、駅から徒歩15分くらいのところにある大きめの公園だった。