「ユキ!! ねぇ、雪羽ってば!!」
文化祭が終わって約2週間。
あのキス事件以来、あたしの魂はどこか遠くに飛んで行ってしまい、ボーッとすることが増えた気がする。
今も、マキと教室でお弁当を食べ終わり大きなため息をついた時に、マキに頭を叩かれ、一気に意識が戻ってきた。
「あ……ごめん。何か話してたっけ?」
あたしが顔を歪めながら聞くと、マキは呆れたように頭を横に振って大きく息を吐いた。
「別に何も話してなかったけど、あんた最近本当にどうしたの? 毎日毎日ボーッとしてさ」
「……あ、うん……」
舞台の上でのキスの事件のことは、まだ誰にも言っていない。
マキが何も言ってこないってことは、あれは誰にも見えてなかったんだと思う。
それがよかったのか悪かったのか……。
親友にでさえも、どう相談したらいいのか、わからないんだ。
ひとりで解決できるほど器用じゃないって、自分が一番よく知ってるのに……。