修学旅行の最終日。
何もなかったように接する良太。
ちゃんと聞いてほしいのに。
「大丈夫か?」
「えっ?何のこと?」
「さっきから考え事してるみたいだけど。」
「・・・昨日のこと怒らないの?」
考えてもしょうがない。
思い切って本人に聞いてみた。
「それは・・・」
「良太に迷惑かけたんだよ?」
「別に迷惑だなんて思ってないから。」
「あたしと先生、2人きりだったのに?」
「しょうがないだろ!お前の体が弱いんだから!」
そういうことか。
何も言い返せなかった。
「ごめん。言いすぎた。」
「・・・良太の言ってること間違ってないから。」
「みんな先に行ってるから急ごう。」
「でも走ったら・・・」
良太があたしの手を握って走る。
あたしが言いたいことを言えないから
こんなことになるんだ。
「愛莉?どうした?」
「あの子、大丈夫なの?」
「息切れして座り込んでるだけでしょ?」
「隣の男の子もかわいそうね。」
「だ、だいじょうぶ・・・さきにいって・・・」
「愛莉を1人にできない。」
「いいから・・・はやく・・・」
「ごめん!先生呼んでくるから!」