あたしが変なこと聞いたから

気まずい雰囲気になってしまった。



何か話しかけようと思うけど・・・



こんなときに限って何も思い浮かんでこない。





「そろそろ帰るか?」



「えっ?」



「明日も学校あるからな。」



「そうですけど・・・」



「帰る準備しなさい。」




いつもの先生だ。



気まずいと思っていたのは

あたしだけなのかな。







静かな部屋でインターホンの音が鳴り響いた。

お客さんが来たようだ。



「先生?出なくていいんですか?」



「ごめん。」



どうして謝ったの?

謝ることじゃないよね?





「誰かいるの?」



聞こえてきたのは、女性の声。



「今日は帰ってください。」



「真人さん。もう時間ないのよ。」



「わかってますから。でも来週は」



「予定空けておいてくださいね。」



「・・・わかりました。」




嫌でも聞こえてしまった2人の会話。


何で悲しくなるのかな・・・





部屋に戻って来た先生は、お弁当を持っていた。

あたしが作らなくてもいいんだ。



「送って帰るよ。」



「いいんですか?さっきの人は・・・」



「関係ないだろ。」



「………」



せっかく先生と近づけたと思ったのに、

一気に遠くなった気がした。