「離してください。」
「大事な話がある。」
「嫌だ!聞きたくない!」
腕を振りほどいて逃げた。
追いつかれないように走った。
こんなに走ったのは久しぶりだ。
気づいたときには手遅れ。
胸が苦しくなって、その場に座り込んだ。
「大丈夫か?ゆっくり呼吸しろ。」
「………」
なぜか涙が止まらなかった。
苦しいからじゃない。
何で泣いているのか自分にもわからなかった。
その後、保健室に連れて行かれて
しばらく眠っていたようだ。
「吉沢さん。もう大丈夫?」
「・・・先生は?」
「さっきまでいたんだけど・・・」
「今日はもう帰ります。」
保健室の先生には、いつもお世話になっている。
今日は体調が良くなったから
自分で帰ることにした。