痛い程の優しさが


包み込む様な温かさが、身にしみる


どうしてそこまで優しくしてくれるのか


それはきっと私の事を思ってくれているからで


時々、私は翔聖に何かしてあげられているのか不安になる


「ありが、と…」


……ぎゅーっと強く抱きしめれば返してくれる所が好き


私は優しくなんて無いけど、


でもたしかにその通りだと思う。


私だったら心配かけたくないから相談できない。


「…早く泣きやめよ」


ぶっきらぼうな声はやっぱり優しくて


それが照れてるだけなんだって今ならわかる


「うるさい。


ねぇ、翔聖はどうして私に優しくしてくれるの?」


「…バカにしてんのか」


好きだよって言ってくれるか期待しただけじゃんっ……。


その返答にイラッときて顔を上げれば


翔聖もムッとした顔で私を見つめていた


今日の私は泣いたり怒ったり忙しいらしい


「してないし、馬鹿翔聖。



……好き。大好き」




「確信犯か、バカ紅愛


俺は…愛してる」



「……えへっ」



「えへっ、じゃねえよ。気分屋


毎回心配させられる俺の身にもなれ」


ギロッと私を睨む翔聖は…まぁめちゃくちゃ怖い。


「…ごめんってば」


いつの間にか涙は止まっていた。


ホント、お世話になりっぱなしだ。


そんな意味を込めてそう言うと


ポンと優しく頭に手が乗って。何度か撫でた後


「今日はもう帰るか」


「え……?」


「疲れただろ」


うーん…


確かにちょっと疲れてはいるけど……。


「今日、行こう?」


なんとなく先延ばしにしちゃいけないと思った


「…大丈夫なのか?」


翔聖は少し間を開け、考え込んだ後そう言った


「うん。大丈夫」


「そうか、じゃあ行くぞ」


翔聖はぶっきらぼうにそう言うと


私の手をとって歩き始めた。







目的の場所につくまで、


今日会ってきた翔聖のお父さんの話を聞いていた。