ギクッ……。


隣からそんな効果音が聞こえたような気が…


「「……ぶはっ!」」


そして、いきなり吹き出してお腹を抱えて笑う柊さんと仁さん


え、な、何…!?


わ、わけがわからない


「何が面白いの?」


未だ笑いのおさまらない仁さんにそう尋ねると


「……ククッ、20になったいい男の大人が


年下に"くーちゃん"なんて呼んでたらどう思う?


俺ならドン引きだけどな、っあははは!」


…………あ、あぁ。そういう事か




うん、確かに。


「あの、玲さん、別に紅愛でも…」


「うわぁああ!もう!恥ずかしいからヤメテ!」


そう言って、ぱたっと机に突っ伏した玲さんはあの頃と変わらず可愛い


思わず、ふふっと笑うと


「そういえば、僕も気になってたことがあるんだけど。」


口を開いたのは柊さん


「……?」


「何で敬語使ってるの?」


え…。私、敬語だった?


「あぁ、確かに」


嘘…。無意識だった。


「まぁ会ってない年月が長すぎたのもあると思うけど


あの頃のままで良いよ


敬語も気も使わなくて、ね?」


「うん…って、柊さん!


私気使ってなかったの!?」


「えぇー?あはは」


「使ってなかったに決まってんだろ。ガキ」


「ガキ!?仁さんの方がガキだよ!短気!」


「あぁ!?」


「くーちゃんは特に僕の事年下みたく扱ってたよね!!」


「「「(くーちゃん……。)」」」


「あ……。もーー!ばかー!!」


こうして、私達は再会した


後々に色々聞いてみると


3人とも族からは引退して大学に進学


今はそれぞれが夢に向かって進んでるらしい。


柊さんは医者になるために医学部、


玲さんは学校の先生になるために教育学部、


仁さんは建築家になるために建築科で日々勉強に追われてるとか。


私にはまだ夢が見つかってないから相談に乗ってもらえることになって


これからも沢山会える


だから、あの頃みたいに突然離れ離れにはならない


「またね」


それが私達の別れの挨拶だった。










私は口を閉ざし、目を開けた



「紅愛、もう辛くないの?」


私の代わりに口を開いたのはセイラ。


大きな瞳には今にもこぼれ落ちそうな程涙が溜まっている


「幸せだよ、すっごく。」


知らない内に心配させてたのかな


でも今は自信を持って言える


「……っ」



ポロポロ涙をこぼすセイラに胸が痛む


そして、他の皆もそれぞれ俯いたり違う方を見たりしながらも、ぎゅっと唇を噛み締めていた


その時確信した。


私が夜影にいる時、正気でいられたのは


この人達のお陰なんだと


少し壊れてはいたと思うけど……


きっとこのチームじゃなかったら私はまた、闇に染まりきってたんだと思う


……いや、染まりきってた


だからこそ恩返しがしたいと思った


ちゃんとした友達…仲間になりたいと思った


皆の事、もっと知りたいと思った


だからさ





「…ねぇ、皆の事も教えて?」