「今日は転校生が来てるぞ〜」 
先生がそう言うと教室がザワザワし始める。
転校生....?

ふーん。別に今のあたしには関係のないこと。
最初だけいい顔して.途中から
いじめる側に行くんでしょ。どうせ。  

「よし.真条。入れ」
....真条か....。
イケメンだったらいいなぁ....。
なんてことをちょっぴり考えちゃったりして。

ドアの方に目をやると見えてきたのは─────。

あの日.あたしを助けてくれた。
     

『優雪』


「優雪....。」
気づけばあたしは小さな声を漏らしていた。

一瞬だけど優雪と目が合ったような気がした。

みんな.『かっこいい!』とか
『うお!イケメンすぎ!』なんて言ってる。
そりゃそうだよ。

優雪.イケメンだもん。

「真条の席はなあ〜」
先生が指をさしたのは....。

あたしの隣!?

あ....。隣の席の人.真条綾華ちゃん。
先月亡くなったって先生が言ってたな....。

「よっ」
そんなことを考えていると優雪が話しかけてきた。
「うん。久しぶり」
「俺.一応高2なんだよ。ビックリした?」
「うん。かなり」
だって.明らかに年上に見えたんだもん。
オシャレだし....イケメンだし。
「俺.双子の妹いるんだよね。」
「え。妹さん!?すごい!初耳〜」
「だよな。」

妹さんいたんだ....。
じゃあ.頼りになるお兄ちゃんって感じかな?
今の姿からは想像出来ないけど....(笑)

「うん。今は遠くの学校で勉強してんだ」
「へ〜え....。真面目なんだ?」

なんて会話を毎休み時間ずっとしてたら
いつの間にか放課後がきてて。

「あ。俺.手続きとかあるから職員室
寄らなきゃなんないんだよね」
「そうなの?」
「うん。その後....さ。一緒に帰ろ?」

ビックリした。
優雪の口からこんな言葉が出てくるなんて。

でも.その後待ってることを
二人は知る由もなくて─────────。