次の日。
優雪は学校に来なかった。

「ねぇ...。恋奈ちゃん?」
「え....?」
ビックリした。このクラスであたしに
話しかける人なんて優雪ぐらいしかいなかったから。

「あの....。友達になってくれない?」

宮野結衣(ミヤノユイ)というその子は
あたしと性格がちょっと似てる子。
気が強くて....シャイで可愛い子。

「え....。あ.うん」
「よろしくね!! あたし恋奈ちゃんと
 友達になってみたかったんだ〜♡
 あ。結衣って呼んでね♪」

あたしは結衣が羨ましく思えた。
誰にでも明るく接して.常に笑顔でいられる結衣が...。
でも.今のあたしにとって結衣は
天使のような存在だった。

結衣とはすぐに仲良くなった。
授業の合間の休み時間は
いつもメイクの事とかで話題になる。

「カラコン.恋奈は何色が好き?」
「え〜....。あたしはブルーだなぁ」
「あたしは〜....ブラウン!!」

いつも決まってこんな会話をする。
で.いつも決まって結衣が
『やっぱ恋奈ってモデルだからセンスあるわ♪』
 って言うの。

前までは”モデル"っていう職業があんまり
好きじゃなかったけど.結衣がそう言ってくれるなら
頑張れる気がした。


初めて知った『友達』という大きな存在。
あたしは結衣がいてくれたらそれだけでいい。
いつしかそう思うようになっていったんだ。

でも結衣は何か大きなものを抱え込んでいると思った。
前に二人でショッピングモールに行った時。
三人の親子が楽しそうに歩いているのを見て.
『赤ちゃん.かわいいね♡』ってあたしが言った。
でも結衣は───────....。

目から数え切れない程の涙を流していた。
『結衣っ?! どしたの?!』
そうあたしが聞いても結衣はそのままジッと
親子だけを見ていた。
あんまり問い詰めない方がいいと思って.
それ以上は何も言わなかった....。