パシャパシャッ!
音が響きながら.フラッシュの光に包まれて
カメラに向かってポーズを決める。
あたしの名前は片桐恋奈。RENAという名前で
2年位前から雑誌:cherryblossom:の専属モデル
として活動中。
でも普段は普通の高校2年生。
モデルって事はバレてるっていうか....
公表してる感じ。
それが裏目に出ちゃって.先輩に呼び出されるのも
よくある話。
まあ.茶髪でスカートの丈短くて.おまけに
モデルなんて言い出したらそりゃ呼び出すか。
今日も仕事終わりに絡まれたし。
「アンタ.ちょっと可愛いからって調子のんなよ」
はあ?それってひがみ?
マヂで.こういうのダルイんだよね。
「ふーん。それ.ただのひがみって言うんだけど
ていうか.自分らがブスって認めてんじゃん」
「なっ....!テメェなめんのもたいがいにしろよ!」
そういって向こうが手を挙げた時だった。
来ると思っていた痛みが来ないから
顔を上げてみると.茶髪のヤンキーみたいな人が
先輩の腕を抑えていた。
「お前....何やってんだよ。」
その人はどす黒い声で先輩達を圧倒していた。
「ゆ....う....」
「女に女が手ぇ出すのか」
先輩にそう言い放つとその人はあたしの手を
引っ張って近くの公園へと連れていった。
「お前.大丈夫か?」
さっきの声とは正反対に優しい声で心配してくれた。
「大丈夫です。もう慣れてるので」
今思えばあの時からあたしはその人に
淡い恋心を抱いていたのかもしれない。
「そうか。俺の名前は真条優雪。
優しいにゆきって書いてゆうって読むの。」
「へぇ....。あんまり想像できないです」
内心すごく驚いてたけど平然を装った。
「あんたの名前は?」
「片桐恋奈です。恋に奈って書きます。」
あんまり自分の名前って言わないからすっごく
言うのに緊張した。
「あ。タメでいいよ。どうせ同じぐらいなんだし」
「あ.うん。」
ここはタメでいいのかな?って思ったけど
一応タメで喋ることにした。
「じゃあさ.恋愛経験豊富なんだ?」
「そうでもない。今までで15人位かな」
思い返してみると.あたしこんなに付き合ったんだ!
って自分自身驚いている。
「15人!?やっぱスゴイね。」
「優雪は?何人位?」
この質問をするときが1番ドキドキした。
だって優雪が遊び人かもしれないから───────。