「…私‐」
言いかけて、途中で止める。
「?」
一同が不思議そうに明葉のほうを向く。
「…あの。すいません、私も今初めて聞きました」
明葉の中に、今朝の事がよぎる。
あれが…死の夢?
「明葉もか。俺だけ疎いのかと思ったぜっ」
そんな明葉の思いをよそに、坂本は笑った。
「まあ、都市伝説なんてそんなもんだよね。有名っても狭い世界の話だしさ」
「良ければ少し調べてみましょうか?」
浅倉、晃が言う。
「そうだな…。じゃあ、今回の企画は『死の夢』中心で行くか。皆、よろしく頼むよ」
坂本は一同に呼びかけた。

その日の夜‐。

湯船の中で、明葉は考えていた。
「夢か…」
今日の昼休み、明葉は美由が見たという悪夢について話を聞いた。彼女の夢は、よくわからない何かに学校で追われる夢だという。
「…死の夢なんて…本当にあるのかな」
湯船に映る自分の顔に、明葉はひとり呟いた。
明葉にとって夢の事ばかり引っかかる一日であったが、入浴する事で随分リラックスできた。
入浴を終えて寝間着に着替え、明葉はベッドに入った。

今日は色々あったけど…。

灯を落とした部屋で、明葉は静かに瞼を閉じた。